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世界に飛び出していく子どもたち

2020/10/9
学校法人AIC鷗州学園 AICJ中学・高等学校 副理事長
岩本 知士
AICNZ Director
中村 敬志
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パパママプロジェクト

国際バカロレアというプログラムで何を学ぶのかをうかがってきましたが、今回は高校卒業後をイメージして聞いてみます。海外の大学に進学するとは、どんな生活が待っているのでしょうか。引き続き、広島にあるIB認定校AICJの岩本さんと、ニュージーランドにあるAICNZ校の中村さんにお話しいただきます。

我が家では小学生2年生の息子には英会話を習わせたり、英検を取らせたりしています。でもいま持っている知識では、英語教育は、いい大学に入ること、いい就職ができることがゴールに見えてしまって…なかなか将来海外で活躍するイメージを持つのは難しいです。

私たちがニュージーランドで運営している学校は、生徒が200人います。このうち、アジアからの留学生が8割を占めています。国籍は多いほうから中国、韓国、そして日本、ベトナムの順です。アジア圏でも、海外で英語や国際的に通用する考え方を身につけようとする方々は多いということですね。

海外の大学に行くって、どうしてもハードルが高く感じてしまいます。費用とか、生活とか、治安は大丈夫なのかとか。皆さんが海外の大学を選ぶ理由は何なのでしょう?

広島のAICJとニュージーランドのAICでは保護者の希望は異なりますね。日本の保護者で、中学に入った時点で将来の進学先として海外を考えている人はまだまだ少ないと思います。開校して15年になるのですが、開校当時は中学3年間をAICで過ごして、その後IBに進みたいと思う生徒は10人程度でした。それがいまでは、IB進学や海外の大学に、と意識を持っている生徒は毎年50人くらいいます。さらに、保護者と生徒本人との意識の差はあるかもしれません。子ども50人がIBを学びたいと思ったとしたら、保護者は20人くらいがそう思っている、そんな差はあるようです。

海外での費用については、生活費と学費を含めて大学4年間で1,500~2,000万円ほどと言われます。高額ですが、奨学金ももちろんありますし、オーストラリアなど比較的費用を抑えられるような国もありますよ。

どんな国が人気がありますか?

AICJではカナダが人気です。カナダは国としてIBを学んだ生徒への優遇措置があります。その次はシンガポールをはじめとした東南アジア。シンガポールに進学した学生は、最初はいわゆるシングリッシュ(シンガポール英語)に悩むようですが(笑)。

治安については地域によりますし、夜中に人通りのないところを出歩くような行動をしてしまったら、海外に限らず日本でだって危ないですよね。

海外への進学を念頭に置いて、勉強以外のたとえば文化とか生活習慣などを学ぶ機会はあるのでしょうか。

AICJでは、中学生からカナダとニュージーランドに留学する機会があります。また、普段教えてくれる教員もネイティブですので、教員とのやりとりの中で自然に文化に触れていくことができます。

すごくあこがれますけど、では、わが子にどうやったらそこを目指させることができるのか…勉強以外には何をさせておけばよいのでしょうか。

お子さんに海外への意識を持ってもらうにあたってひとつおすすめがあります。日本をよく知ることです。生徒、学生同士だと、一番分かりやすい日本の文化と言えばアニメなのですが、実際生徒が同年代の外国人から聞かれる話題って、日本のサブカルチャーに関わるものが多いんです。日常会話で、日本のアニメのこととか、ゲームのこととか、でもそれだけじゃありません。政治や経済に関する国と国の比較の話など難しい話も普通に出てきます。こういう日常会話に答えられないと、勉強はともかく会話にならないわけですね。そしてもうひとつアドバイスするなら、海外で生活するのにとても大切なのが、他国の文化を自分の中に入れることに抵抗を持たないことです。日本の学生は、よくこの点で苦労しています。同調圧力の高い社会で、多様性を認めにくい環境にいると、そこから抜けるのにひと苦労します。以前、AICJの卒業生が後輩たちに、まず自分と違う考え方が出てきても、反発を飲み込んで、ああそういう考えもあるんだと飲み込んでから反応する、と教えていました。自分の国や文化にも、他国にも、いいところも悪いところもある。それをフラットな目で見ることが必要です。

それは学力だけの問題ではないですね。国際社会を生きるために持っておかないといけないマインドだと思いました。

もうひとつ、海外への進学を目指す子どもたちに持っていてほしいのが、強い気持ちです。海外の大学は絶対的に卒業しづらい。海外の大学で受けるプログラムは、息つく暇がないくらい要求が高いです。そのくらいのプレッシャーをかけて、それで成長できるかを見ています。やる気がなかったら、じゃあ来なくていいよ、と突き放されます。自分でモチベーションを高めることができるようにする、自分で動ける力が必要だと思いますよ。

最後は学校の勉強にとどまらない、国際社会で活躍できる人間とは、という像を教えていただきました。小さいうちから意識しておくべきこともありそうです。広い世界に臆さず飛び出していける子どもになってほしいと夢は広がりますが、まずは我が子にどんな環境を用意するか考えなくてはと、目を覚まさせられるお話でした。

学校法人AIC鷗州学園 AICJ中学・高等学校 副理事長
岩本 知士

鷗州塾で13年間、数学教師を務めながら、地区や校舎の運営のほか、教務管理も経験した。その後2010年より国際バカロレア認定校AICJにて学校経営に携わる。

AICNZ Director
中村 敬志

ニュージーランド・オークランドにある国際バカロレア認定校、AICNZに2006年の立ち上げより参画。一緒にニュージーランドに来た長男はもうIBディプロマを取得し日本の大学へ。下の長女もいま高校でIBディプロマを絶賛取得中。

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Yahoo! JAPAN パパママプロジェクトとは、ダイバーシティを推進し、働きやすい社内風土を醸成するため、有志を中心とした社内プロジェクト。ランチ時間に子どもを持つ従業員が集まり子育てと仕事に関する情報交換ができる「パパママカフェ」の開催や、外部講師による子育てセミナーなどを企画しています。社内外のネットワークや活動も行い、日本全体として働きやすい環境風土の醸成につとめていきます。

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