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公立中高一貫校の適性検査とは?

2020/10/13
元都内大手進学塾の講師 ケイティ 元都内大手進学塾の講師 ケイティ

一般の公立中学と変わらない学費と高い進学実績で人気の公立中高一貫校ですが、適性検査と言うテストがあることをご存じでしょうか?

今回は元大手進学塾の公立中高一貫校対策クラスのカリスマ講師で現在は公立中高一貫校対策を中心とした、オンライン講師として活躍中のケイティさんに「適性検査」に関して教えていただきました。

公立中高一貫校の適性検査って、
どのような検査?

公立中高一貫校の「適性検査」は筆記テストのことなのですが、その内容は「資料」や「グラフ」などの因果関係、相関関係を読み取る問題や理科で言う「実験」などに関する問題です。
これは、私立中学受験のような教科別の試験ではなく、教科を越えた総合的なテストです。

適性検査では、どのようなことを試されるの?

適性検査では「読解力」や「仮説思考力」などを試されます。

「読解力」は文章を読んで理解する力も必要ですが、それだけではなくて出題者の意図を読み取ることも含めた力が求められると考えています。
また「仮説思考力」に関しては、日常の現象について「なぜ」と疑問を持ち、仮説を立て、実験を組み立てる力などが重要だと考えます。

例えば都立桜修館の「出題の基本方針」を見ると“「実験の方法を理解し分析する力」「予想が正しいか結果をもとに説明する力」「結果を整理し適切な条件を見出す力及び的確に表現する力」をみる”とあります。

このように、日常の何気ない現象に対して、 その理由に興味を持ち、予測を立て、その予測を確認するための方法を考え検証する力が求められています。

例えば
・ろうそくが燃えているとき、燃えているのはロウなのか芯なのか?という会話文から、それを確かめる実験を記述する問題

・同じ長さのブランコに乗っている大人と子供の、一往復にかかる時間が変わらないという会話文から、ふりこの往復に影響する要因を調べる実験を記述する問題

・カビが生えるには温度・湿度・性質(酸性、アルカリ性など)などの一体どれが関係しているのか調べる実験を記述する問題

など、まずは「こうじゃないか?」と仮説を立て、それをハッキリさせるためにどのような手順と対照実験が必要か、頭の中で組み立てる必要があります。

また、これは理科だけでなく、算数問題でも必要な力です。

適性検査では条件を整理してパズルのように解く問題も多いので、まず、Aが〇だとすると…と仮説を立て、結果が矛盾していれば、また仮説に立ち返って修正をしていく、という手順が必要です。

小学生にとっては、「仮説を立てる」という思考回路にまずは慣れるところから始めないといけないので、訓練が必要です。

普段から、気になったことをすぐにインターネット等で調べて納得する受動的な学習法ではなく、まずは疑問を持ち、自ら確かめようとする好奇心をなるべく伸ばしてあげられる環境づくりをすること、

そして、身近な現象について親自身が「なんでだろうね?」と子供に投げかけるような声掛けも重要だと考えます。

適性検査は具体的にどんな問題?

適性検査はⅠ、Ⅱ…やA、B…、と分かれている学校もあれば、「適性検査」「作文」と分かれている学校もあります。

そのため、まずは志望校として選択肢に上がった学校がどの種類の検査を行うのか、早めに調べる必要があります。

都立中を例に説明すると、

Ⅰ……文章題+要約+作文
Ⅱ……科目横断型で思考力を見る問題
Ⅲ……発展問題


という分け方をしています。
※Ⅲを実施するのは、小石川、白鷗、富士、両国、武蔵、大泉です。桜修館、南多摩、立川国際、三鷹はⅠ、Ⅱのみ。

それぞれの特徴を説明します。(学校によって違いはありますが、主な形を紹介します)

Ⅰ<作文>

構成について
◯3~5ページ(上下段に文が分かれている)程度の文章があり、それに対して小問×2+作文×1

◯文章は随筆・論説文が主。

◯文章が2本あり、その2つの共通する主旨を見抜き、さらにそれに対して自分の意見をまとめる力が必要。

◯作文の字数は、トータル400~600字(200×2の学校も)

◯作文のテーマは、「価値観」「生き方」「社会への問題提議」といったものが多く、普段からいかに考えて生活しているかが試される。

◯制限時間は45分という短い中で、「読む」「理解する」「意見をまとめる」「要約する」「作文を書き上げる」必要がある

解説
適性検査の作文は、小学校で習う作文(いわゆる読書感想文のような書き方)とは全く違います。

経験を並べて感想でしめくくる、というような作文ではないため、言葉こそ「作文」と付いていますが、実際は「小論文」だという認識が必要です。

また、「文章を読んでどんな気付きがあったか」「文章を読んで、今後どのように生きていきたいか」という深いテーマが出題されるため、その場で急に答えを出すことは困難。

長い時間をかけて、様々な経験をしながら『深く考える』ことで、何を聞かれても答えられるような訓練が大事。

読書経験も有効。合格者には、小さいころから本の虫だった子が多い。(=親が読書家で、小さいころから自然と読書する環境がある子)

問題の紹介(出題内容を要約しています)
◯R2年都立白鷗より
「信頼性の欠落の例を一つ挙げ、なぜ欠落してしまうのかその理由を説明しなさい。その上で、信頼性を高めるにはどうしたらよいか……」

◯R2年度都立桜修館より
「あなたは「自分を造り上げる」ためには何が必要だと考えますか……」

Ⅱ<複合型>

構成について
◯大問三題からなる

◯県によっては共同作成問題を導入し、3つの大問のうち1~2題は同じ県内(都内)で共通問題を出している

◯「主に算数」「主に社会」「主に理科」という分け方で大問が構成され、小問が2~3題

◯選択肢で答える一問一答形式はまれで、ほぼ記述式

◯制限時間は45分(大人でも厳しい)

算数は、図形(平面・立体)や規則性など、計算力と論理的思考力を試す問題が多い。ただ計算をするだけでなく、考え方を説明する力も必要。

社会は、複数の資料から出題の主旨を読み取り、資料から見える社会問題などを見抜き、それに対する解決策を挙げたり原因を推測する力が必要。

理科は、実験問題が主。実験を組むためにどのような準備や注意が必要か、といった全体を見る力や、仮説を立てる力、与えられた実験結果から法則を見抜く力が試される。

解説
適性検査は「小学校で学習した内容を基にして、思考・判断・表現する力をみる」という出題方針があるため、特殊な訓練が必要な私立中受験とはちがい、「小学校で習うことだけで解ける」と考えられがちですが、実際に解いてみると、一筋縄ではいかないことが分かります。

たとえば小学校では円周率を習いますが、適性検査では、「なぜ円周率は3以上4以下なのか、図を書いて説明してください」という問題が出ます。(円の中と外に正方形を書き、直径との関係から証明をします)

このように、「ただ知識といて知っている」だけでは解けず、「なぜなのか」と考えた経験や、「どこまで深く理解できているか」「どれだけ使いこなして来たか」が試されます。

理科の実験についても、手順としては知っていても、「なぜこの手順が必要なのですか」という理屈を深堀りされるため、教科書を読み込むだけでなく、一つ一つ自ら興味を持ってインプットしていく姿勢が必要です。

社会については、ふだんあまり見慣れない複雑な折れ線グラフや積み上げグラフがそれも複数出てくるため、まずは全体を俯瞰し、「出題者は何を聞こうとしているのか」と作問の意図を考えながら答えを作っていく精神年齢の高さが必要です。

また、社会問題がテーマになることも多いため、ふだんからニュースや新聞などで、家族間で意見交換する経験が役に立ちます。

問題の紹介(出題内容を要約しています)
◯2018年都立共同作成問題より
「□〇□+□〇□=7となる式を、□には1~6までの異なる整数と、〇には計算記号を三種類全て使って作る」

◯2018年小石川より
「会話文や資料を参考にして、(1) フードマイレージの数値を小さくする方が良い理由についてあなたの考えを書く (2) フードマイレージの数値を小さくする方が必ずしも良いとは言えない理由について、あなたの考えを書く」

◯2018年横浜市立南高附属より
「雑木林全体でできるだけ多くの種類の土壌動物を見つけるという目的と、雑木林のいくつかの地点で土壌動物の数を調べその結果を比較するという目的と、両方達成するために最も適切な調査方法を選ぶ」

Ⅲ<発展型>

構成について
◯適性検査Ⅱをさらに発展させた内容

◯理系からの出題(算数のみ、もしくは算数+理科)

◯制限時間は30分~45分

◯問題数が少ない分、一問の配点が高く、かつ非常に難解のため、3割取れない子も多い

解説
ハイレベル校が実施する適性検査Ⅲは、理系に強い子は差別化に繋げられるが、苦手な子はとても苦戦する。

お子様のタイプによっては、Ⅲ実施校以外を選ぶのも一つの選択です。立体を出題する学校が多いので、「慣れ」ではカバーできないセンスも必要。問題によっては、明らかに時間がかかり過ぎる問題もあるので、制限時間の中でどこまで取捨選択できるかも見られています。

Ⅱ対策とは範囲は同じですが難易度が異なるため、夏~秋にはⅡ対策を終わらせ、それ以降はⅢ対策も充分に時間を取ることが理想です。

問題の紹介(出題内容を要約しています)
◯2017年都立大泉高附属より
「ウキクサがある一定数まで増殖したあと数が増えなくなった原因は何か、自分の意見を書く。また、その原因を確かめる実験を一つ考え、その結果を予想して書く。」

◯2017年都立小石川より
「金属は木よりもあたたまりにくい理由を、金属と木のちがいにふれながら説明する。」「金属をさわると冷たく感じる理由について自分の考えを説明する。」

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公立中高一貫校受検特集 神奈川県
元都内大手進学塾の講師 ケイティ 元都内大手進学塾の講師 ケイティ

都内大手進学塾の講師として2007年から多くの生徒を合格へ導いた人気講師。担任した公立中高一貫校対策クラスでは6割を超える生徒が合格し、一躍有名に。夏期講習・正月特訓には他塾からも生徒が参加。全科目偏りなく指導できるオールラウンダー型講師。現在はオンライン講師として受検生と保護者のサポートを日々行っています。

サロンURL:https://lounge.dmm.com/detail/2380/

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